震災後の性暴力


震災時には、性暴力が起こりやすい環境が生み出されます。

【ハード面】

・街灯が消え、建物が倒壊することで、死角が増える

・避難所では就寝場所やお手洗い等、生活の場が男女共同となる

【ソフト面】

・生命の危機に接することで、心理的な不安が高まり、暴力行為が加速する

・避難所での集団生活や物資の不足などでストレスが溜まり、そのはけ口が自分より弱い女性や子どもに向かう

 

また震災時には、生命が最優先になることから、性暴力がより一層見えづらくなります

【ハード面】

・人命救助に人員が割かれ、性暴力を含めた様々な事件に警察や公的機関が対応できない

・ライフラインに関する報道が中心となり、性暴力を含めた様々な事件がメディアに取り上げられにくい

【ソフト面】

・「命が助かったのだから」と、性暴力を含めた様々なことを我慢させられがち

 

このため、震災時の性暴力が取り上げられる機会はほとんどなく、むしろ事件として警察に届けられないことで、「デマ」として扱われることも少なくありません。

 

災害後に性暴力が起こりやすくなる事実は、これまで世界各地で起こった災害でも明らかになっています。

NGOヒューマン・ライツ・ウォッチは、20101月に発生したハイチ大地震後の性暴力についての報告書をまとめています

■アメリカの検察局、警察局、及び支援団体は、2005年に起こったハリケーンカトリーナ後の性暴力についての報告書をまとめています


これらの事実を踏まえ、海外では、災害が起こった時、性暴力を防ぐ対策の実施が、常識となっています。

■国連やNGOオックスファムは、世界の災害に、訓練されたチームを派遣しています。

■アメリカルイジアナ州性暴力反対基金と全米性暴力情報センターは、「被災地における性暴力~防止と対策のためのマニュアル」を作成しています。


日本でも少しずつ、性に配慮した防犯計画が策定されつつあります。

■内閣府は男女共同参画の視点から見た「防災分野の取り組み状況」をまとめています。

内閣府中央防災会議地方都市等における地震防災のあり方に関する専門調査会では、近年発生した比較的大きな地震への対応などから得られた知見を踏まえ、「地方都市等における地震防災のあり方に関する専門調査会報告」がとりまとめられました。

2011年3月1日の委員会では、「災害時における女性のニーズ調査~なぜ 防災・災害復興に女性の視点が必要か~」が提出されました。


ウィメンズネットこうべでは、阪神・淡路大震災を踏まえ、災害時に必要な取り組みをまとめています。


また、災害時に女性が暴力に遭わないためのポイントをまとめた冊子を、作成している自治体もあります。

■大分県では、「災害の被害を受けやすい女性」「防災・災害復興の担い手としての女性」双方の立場から、避難所生活での工夫や日頃の備えをまとめた「女性の視点からの防災対策のススメ」を作成しています。

■横浜市では、災害をイメージし、今の自分が持っている防災力を確認できる「私の防災力ノート」を作成しています。

■兵庫県立男女共同参画センターは、女性や乳幼児を持つ母親の視点で防災情報や知識をまとめた「母と子の防災・減災ハンドブック」を作成しています。「表紙」「本文」

■大阪府豊中市は、女性の視点で防災を考えた「とよなか女性防災ノート」を作成しています。


2011311日に起こった東日本大震災は、死者が18,000人を超え、地震だけでなく、津波、計画停電、放射能等、これまでにない大惨事となりました。
また2012年9月30日時点での死者18,877人の男女別内訳は、男性が8,693人、女性10,184人と、女性が男性を1,491人上回っています。
【詳細は「平成23年(2011)人口動態統計(確定数)の概況」の参考1「人口動態統計からみた東日本大震災による死亡の状況について」をご覧ください】

震災から1年後の2012年2月から3月にかけて実施された「東日本大震災における女性の悩み・暴力(集中)相談事業」では、156件の「DV」、19件の「DV以外の暴力」相談が寄せられています。 【詳細は「東日本大震災被災地における女性の悩み・暴力(集中)相談事業 報告書」をご覧ください】

■政府は、男女共同参画局を中心に、災害後の性暴力を防ぐための指針をいくつか出しています。

これまでに出された指針は以下のPDFにまとめられています。

【取組1】

【取組2】

■復興庁では男女共同参画班を設けて、被災後の不安を軽減する取り組みを進めています。

■内閣府男女共同参画局では、東日本大震災に関連して寄せられた、女性からの相談内容をまとめています。

・2011年2~3月に開設された性暴力専門相談ダイヤル「パープルダイヤル」には、被災地からも相談が寄せられました。

「配偶者暴力等被害者支援緊急対策事業 パープルダイヤル-性暴力・DV相談電話-集計結果」

・2012年2~3月に実施された「東日本大震災被災地における女性の悩み・暴力(集中)相談事業」では、被災から1年が経過しても、相談先が必要であることが明らかになりました。

「東日本大震災被災地における女性の悩み・暴力(集中)相談事業 報告書」

■第56回国連婦人の地位委員会(CSW)では、東日本大震災を踏まえ、日本が提出した決議案「自然災害とジェンダー」が採択されました。

■東日本大震災女性支援ネットワークでは、『こんな支援が欲しかった!現場に学ぶ、女性と多様なニーズに配慮した災害支援事例集』を作成しています【前半】【後半】

■特定非営利活動法人参画プランニング・いわてでは『「命とくらしを守る避難所運営ガイドライン」 ~地域にくらす多様な人々にとって、安心・安全な避難所~』を作成しています

■減災と男女共同参画 研修推進センターでは『ジェンダー・多様性配慮の視点を反映させた、被災者の方への聞き取りシート』を作成しています

Stand for mothersは、これまでのママたちの防災活動をまとめた「防災ママブック」を作成しています

■「しあわせなみだ」は、人身売買撲滅に取り組むNPO法人ポラリスプロジェクトジャパン」「てのひら~人身売買に立ち向かう会」とともに、「震災時の女性・子ども応援プロジェクト」を立ち上げ、201110月まで活動を展開しました。


カード.jpg

↑「震災プロジェクト」が被災地に40,000枚配布したカードです↑

 

災害後の性暴力をゼロにするためには、どうすれば良いでしょうか。

まず、災害後の対応を徹底することです。

そして何より、平時を、性暴力のない社会にすることです。

災害時には、平時の課題が顕在化します。平時に性暴力がなければ、災害時にも性暴力は起こりません。

 

あなたの自治体でも、「平時」「災害時」双方の視点から、性暴力を防ぐ対策を、是非実施してください。






XE Login