性暴力被害に関する情報
日本の法制度
残念ながら日本では、性暴力被害全般を対象とした法制度はありません。

個別の法律の中で触れられている箇所を紹介します。

(1) 刑法
【第22章 わいせつ、姦淫及び重婚の罪】

わいせつと姦淫(強姦)について規定しています。
この文章は100年以上前(=女性に参政権がなかった時代)につくられています。
このため「女性の貞操を守る」「社会規範を守る」という観点からの規定になっており、
「被害に遭われた方がどういう状況になったら性暴力被害か」という観点が抜けているところが課題です。

(2) 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律
【配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律】

通称DV法、ドメスティックバイオレンス(近しい人からの暴力)に関する法律です。
暴力が配偶者間である場合に限られます。
デートDVや、見知らぬ人などからの暴力は対象外となっていることが課題です。

(3) 犯罪被害者等基本法ならびに基本計画
【犯罪被害者等基本法】
【犯罪被害者等基本計画】

犯罪被害者等に対する対策です。
警察に被害を届け出た方のみが対象となります。
ただ、性暴力被害に遭い、被害を届け出たのはわずか13.3%というデータもあります(法務総合研究所「第2回犯罪被害実態(暗数)調査」より)。
すなわち、性暴力被害者の大半が対象外となっていることが課題です。

(4) 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
【11条 職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置】

事業主に対して、セクハラ防止策を講じることを規定しています。
暴力が職場内である場合に限られます。
取引先などからの暴力は対象外となっていることが課題です。

(5) 児童虐待の防止等に関する法律
【児童虐待の防止等に関する法律】

子どもに対する虐待を防止について規定しています。
暴力が保護者から子どもに対するものである場合に限られます。
兄弟、親戚などからの暴力は対象外となっていることが課題です。

(6) 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律
【高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律】

高齢者に対する虐待防止について規定しています。日本は、「高齢者を敬う文化がある」とされ、高齢者が暴力に遭うことが想定されていません。また、高齢者自身の意志が尊重されるため、「暴力に遭っても住み慣れた自宅で暮らしたい」「子どもに苦労をかけたから暴力は仕方がない」「恥を外部にさらせない」等といった理由で、暴力を我慢する、もしくは認知症等で暴力に遭っていることに気づかず、暴力が温存される傾向があります。さらには、「高齢者に性を求めるはずがない」はてまた「これくらいいいだろう」「性に飢えているから刺激を与えた方がいい」といった考え方まであります。高齢者の性的人権も、他の人と同等に扱われる必要があります。またこの方は、養護者支援を含んでおり、「社会資源の不足が高齢者虐待を起こす」という考えから、加害者である養護者への罰則は規定されていません。
【高齢者への性暴力についてはこちらもご覧ください】

(7) 障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律
【障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律】

障がい者に対する虐待防止について規定しています。 暴力が養護者(家族等)ならびに障がい者施設職員および使用者(障がい者の雇用主)による場合に限られます。 また、学校、保育所、医療機関等に対して、暴力防止策を講じることを規定しています。 施設内での障がい者同士の暴力等は対象外となっていることが課題です。 また、障がいを持つことにより、性暴力に「遭いやすい」「発見されづらい」「事実が証明されづらい」リスク、さらに性暴力の「加害者」となるリスクについても、対応が求められています。
【障がい者への性暴力についてはこちらもご覧ください】

(8) 売春防止法
【売春防止法】

売春は「人の尊厳を害し、性道徳に反し、社会を乱すものである」と規定し、売春を助長する行為を処罰、ならびに売春をする恐れのある女性を保護更正することを目的としています。 売春を斡旋する人、そして売春をした女性は処罰されますが、買う側は処罰されません。 なお、この法に基づき、設置された婦人保護施設は、日本で唯一、公的に女性を保護できる施設です。このため、設置当初の目的は、売春を行うおそれのある女子の収容保護でしたが、現在では、家庭環境の破綻や生活の困窮など、様々な事情により社会生活を営むうえで困難な問題を抱えている女性も保護の対象としています。また「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」施行により、配偶者からの暴力に遭った方の保護を行うことができることが、明確化されました。

(9) 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
【児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律】

子ども買春ならびに斡旋の禁止と、子どもポルノの製造・販売の禁止について規定しています。 子どもポルノの「所持」は対象外となっていることが課題です。 「表現の自由」という名のバッシングへの対応も必要です。

このように、性暴力被害全般を対象とした法律がないため、法からこぼれおちる被害者が多数存在しています。
また被害に遭われた方の人権が保障される観点が薄かったり、実際「何をどのように保障してくれるのか」(例として経済的な保障、心身の回復に必要な支援を受けることができる保障など)が具体化されていません。
被害に遭われた方が幸せで健康に過ごせることができるよう、法制度を整備していく必要があります。

 

 editor_component= 性暴力被害ゼロ理解度チェックはこちら
性暴力被害に関するデータはこちら
加害者に関するデータはこちら
世界の取り組みはこちら
日本の法制度はこちら





XE Login