性暴力ゼロに関わる人々からのメッセージ
このページでは、性暴力被害ゼロに関わる人々からのメッセージを掲載します。
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※フラッシュバックを起こす可能性があります。お気をつけ下さい。

学生時代、初めてちゃんと付き合った彼は、1歳年上だった。
「付き合おう」と言われて、返事を迷っている時、「ホテルに行きたい」と言われた。断ると「我慢できない」と言われ、ビルの谷間の植え込み陰で、フェラチオをさせられた。
今から思えばこの時点で既におかしかったけれど、その時は男の人をほとんど知らなかったので、こんなもんなのかと思った。
話も合うし、優しかったので、付き合うことにした。

最初のデートで、中学生くらいの子が自分の身体について学ぶための本の、性器の部分を見せられた。そして「実際見てみようか」と言われ、本と私の性器を照らし合わせて、触られた。そしてセックスをした。
その後デートでは必ずセックスをしていた。会って最初に向かう場所は、必ずラブホテルだった。2人とも自宅住まいで、ホテルに行かないとセックスができないからだ。
いつも3時間で3回セックス、というペースだった。ホテルに入って早々に1回。我慢しきれずひとまずセックス、という感じである。私を気持ち良くしようということはなく、ペニスの挿入に問題ない程度に私の性器を濡らしてすぐに射精する。一眠りして2回目は、少しは私の胸や性器を触り、セックスをする。3回目はきまぐれで自分のしたいようにする。
ラブホテルにいる最中は、アダルトビデオがつけっぱなしだった。そしてローションは必須だった。ビデオとローションを使わないと、射精できないのだ。
バイブやローターも使った。「野菜を入れたい」と言われた時にはさすがに断ったが、他はセックス目的の商品であり、みんな使っていると思っていた。
それとカメラやビデオでセックスの場面を撮影した。「自分1人で見たい」と言われた。「そこまで思ってくれているんだ」と思って、OKした。
そんな感じで1年とちょっと付き合った。

その後私に好きな人ができ、別れを告げた。
彼は私に振られたことと、仕事の忙しさが重なり、うつ病になった。
そしておかしなメールがくるようになった。
「付き合った時自分が払ったお金を半分返してほしい。」
「タイで少女を10人くらい買っていた。AIDSに感染して、あなたにうつしたかもしれない。」
「あなたは性欲のはけ口として、とてもよく機能してくれました。」
メールだったので、ひたすら無視した。
すると電話が来た。「ビデオの販売会社です。あなたのセックスのシーンがうつっているビデオを販売することになりました。あなたの名前を出していいですか。出せばその分高く売れるのですが。」とのことだった。「なぜ私の電話番号を知っているのですか、販売を止めてください」と言うと、「既に製品化してしまい、販売は決まっています。」と言われた。私は錯乱状態になった。切ってそのままにしたところ、その後連絡がなかった。今から思えば彼が販売会社のスタッフになりすまして電話してきたのだろう。でも、その時は本当に恐怖だった。

これ以上関わり合いを持ちたくないと感じ、社会人になっていた私は、彼に知られていた自宅を出て、一人暮らしを始めた。そしてメールアドレスを変えた。携帯電話は出なければいいと考え、番号はとりあえずそのままにしておいた。
一人暮らし開始後、彼から自宅に電話が何度かあった。「メールで連絡を取りたいのでアドレスを教えてほしい」という内容だったらしい。親には(セックスの状況やビデオがあることは話していないが)彼がおかしな状況になっていることは伝えておいたので、うまく対応してくれた。

そして4年程が経過した。彼のことはすっかり忘れていた。
ところが、彼から会社宛に手紙が届いた。
手紙の内容は、セックスのビデオを売るので許可してほしい、というものだった。私の身体(顔の良さ、胸の大きさ、ウエストのくびれなど)やセックスの状況(あえぎ声の大きさ、感じ方など)が項目別に採点されており、70万円で売れます、とのことだった。

彼と付き合っていたのは学生時代なので、就職先は知らないはずだった。1つだけ思い当たったのは、就職情報サイトだった。新卒者向けの企業紹介のページに、私は先輩として、顔写真、名前、部署名、役職を公開していたのである。

ビデオを売る、ということも恐怖だったが、それより「勤務先がばれてしまっては逃げ切れない」という恐怖のほうが強かった。警察に相談するしかないと思い、勤務終了後、近くの警察署に行った。
「付き合っていた彼がストーカーになりました」と言って、これまでの流れを説明し、手紙を見せた。
「ビデオは本当にあるの?」「あります」「変だなって思わなかった?」「男の人はこんなもんなのかなと思いました」といったやり取りの後、担当の方が出した結論は、「これはストーカーとは言えない」ということであった。理由は、直接会社に来たり、対面で金銭を要求されたりといった事実は、なかったからだ。
そして思いがけない提案をされた。「これから彼に電話してみましょうか。警察に相談したこと、行為が迷惑であるということを、はっきり伝えてみましょうか。」
「そうします。」と言って彼に電話した。留守番電話だった。「警察にいます。あなたのことを相談しました。こうした行為は迷惑なので二度としないでください」と吹き込んだ。
警察を出て帰宅途中、彼から携帯に電話があった。留守電にしたところ、「警察に相談したんだね、迷惑をかけてすみません。もう二度としません。」とのことだった。その後警察署から電話があり、彼から警察にも電話があったとのことだった。
これを機に携帯電話の番号も変えた。

勤務先がばれてしまった以上、彼がいつ会社に来るか分からない。私は会社を辞めることにした。もちろん会社にはこのことは言わず、適当な理由をつくった。それなりに責任のある仕事を任せてもらっていて、楽しかったので、本当に残念だった。

あれから何年も経つが、このインターネット社会では、彼にいつどのような形で居場所を突き止められるか分からない。一生隠れて暮らしていくしかない。そんな思いを抱えてこれからの長い人生を生きていかねばならない。

最近、2年ほど付き合った人に、思い切ってこのことを話した。すべてのことを話したのは、その人が初めてだった。すると別れを告げられた。このこと自体が原因ではないと言うが、「付き合って2年も話してくれなかったのは、それだけ信頼されていなかったということだ」と言われた。信頼できると思ったから話したのに、別れることになってしまった。

彼との経験が何年も経った今も、こうして私の人生をうまくいかなくする。
この経験とは一生付き合っていかねばならない。どのような付き合い方をすればより良く生きていかれるのかは、一生かかっても分からないかもしれない。

この文章を読んでくださった方には、被害がその時だけにとどまらず、一生影響することを知ってほしい。
そして、私みたいな経験をする人が再び現われることがないよう、願ってほしい。

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2010.01.25
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