性犯罪事件における被害者の障がいの状況が明らかになりました

2020年3月31日 — 

署名賛同ありがとうございます。

しあわせなみだも参加した、法務省性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループとりまとめが公開されました。
障がいについても分析が行われましたので、共有します。


1)性犯罪事件における被害者の障がいの状況
(詳細は「性犯罪に係る裁判例調査」p.11-)

〇平成30年4月1日から平成31年3月31日までの間に第一審判決が言い渡された事件のうち,被害者が障害を有する事件は8件。
うち5件は準強制性交等罪,3件は児童福祉法違反。
〇準強制性交等罪の有罪判決60件中5件で、「心神喪失又は抗拒不能の原因」として「知的障害/知的障害及び加害者との関係性/認知症」が挙げられている


2)不起訴処分になった性犯罪事件における被害者の障がいの状況
(詳細は「性犯罪に係る不起訴事件調査」p.19-)

〇不起訴処分になった事件記録上,被害当時,被害者が何らかの障害を有していたことが判明しているものは,以下のとおり。
※精神障害と知的障害との両方を有するものが3件あるため、総件数に占める障がい児者の%は、異なる可能性があります※

*強制性交等罪(全380件中43件、10.8%)
身体障害1件,精神障害22件,知的障害17件,発達障害3件
*準強制性交等罪(全85件中11件、12.9%)
身体障害1件,精神障害3件,知的障害6件,発達障害1件
*監護者性交等罪(全11件中2件、18.1%)
精神障害1件,知的障害1件
*児童福祉法違反(全13件中2件、15.4%)
知的障害1件,発達障害1件
*青少年保護育成条例違反(全59件中3件、5.1%)
知的障害1件,発達障害2件


3)被害者に障がいがあり不起訴処分になった性犯罪事件の嫌疑不十分の理由
(詳細は「性犯罪に係る不起訴事件調査別表」p.7-)

〇犯人の特定・犯罪の成立要件(複数該当あり)
*同意の可能性あり 23件
*同意誤信の可能性、心神喪失等の認識を欠く可能性あり 21件
*性交等の認定に難あり 14件
*暴行・脅迫の認定に難あり 14件

[被害者供述の信用性] (複数該当あり)
*客観証拠等と整合しない 17件
*虚偽供述の動機・記憶変容の疑い 11件
*供述に看過し難い変遷あり 10件


その他内閣府しあわせなみだ東洋大岩田千亜紀さんが実施した調査等が紹介された上で、障がいに乗じた性犯罪創設や、被害者に障がいが
ある場合の司法面接の実施などが、指摘されています。

今後刑法見直しに向けた検討会が開催されることが、決定しています。
ここで障がいが取り上げられるかは、議論次第ですが、何らかの進展があるよう、働きかけてまいります。

引き続き応援よろしくお願いいたします。

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