Vol.1 よっしー 「レイプだと気づいて、分かったこと」

※フラッシュバックを起こす可能性があります。お気をつけ下さい。

私がレイプされたのは、今から8年ほど前です。
当時私は就職活動中の学生で、学生同士が情報交換をするMLに入っていました。レイプをした人(Sさん)は、そのMLにアドバイザー的な役割で関わっている社会人でした。私がMLに投稿した内容に返信をくれたのがきっかけで、メールを交換するようになりました。
Sさんは飲食店を経営していました。そこで私は友人とともに、何度かそのお店に食事をしに行きました。
Sさんの第一印象は「人のよさそうなおじさん」でした。

その後Sさんに「お店で開催するイベントの受付を手伝ってほしい」と言われました。
スケジュールが空いていたので、お手伝いをしました。
そのお礼として、食事に行くことになりました。

1回目の食事は、特に何もなく終わりました。
そして「次回はもっと良いお店に行こう」と言われました。

2回目の食事、最初のお店は静かな、一見さんお断りの和食でした。
2店目は、高級イタリアンのお店でした。
1・2店目ではお酒も出されました。勧められたものをお断りするのは申し訳ないと思い飲んでいたら、かなり酔ってしまいました。

そして3店目に誘われました。
時間はかなり遅くなっていたので、「電車で帰りたいのですが」と告げたところ、「電車に間に合わなければ必ずタクシーに乗せるから」と言われました。
そこで安心してしまい、3店目に行きました。

3店目を出た時には当然終電は終わっていました。
タクシーに乗せてもらえると思っていたら、急に手をつながれ「ホテルで休もう、何もしないから」と言われました。
「さっきと言われたことが違う」と思いましたが、タクシーで帰るほどのお金は持っていませんでした。学生なのでクレジットカードもありません。酔っていたので「タクシーに乗ってしまって、お金は家にいる親に払ってもらえばいい」というところまで、頭を回すこともできませんでした。

行った先はビジネスホテル。しかもダブルベッドの部屋は空いておらず、ツインルームでした。「ああこれで安心」と思いました。
しかし、部屋に入った瞬間、キスされ、ベッドに押し倒されました。必死に抵抗しましたが、下着を脱がされ、下半身に手を入れられました。
Sさんは「こんなことするつもりじゃなかったんだよ。でも手をつないだら『これだ』と思ったんだよ。」とわけの分からない言い訳をしていました。
体を押しのけようとしたり、「イヤ」と訴えたりしましたが、まったく無駄でした。

翌日家に帰り、その後1週間ほどたって、Sさんから電話がありました。「またイベントの受付の手伝いをしてほしい」というのです。
私はわけが分かりませんでした。
「Sさんはあれだけのことをしたのに、何事もなかったかのように平気で誘ってくるんだ。」とびっくりしました。
もちろんお断りしました。

当時私には「レイプされた」という実感はありませんでした。
お酒を飲んで酔ってしまっていたし、就職活動でお世話になった方なので、仕方がないと思っていたところもありました。
でも最近になって、レイプされた人の文章を読む機会があり、私の体験がレイプであったことに気づきました。
その方は、職場の上司から、レイプに遭っていました。
「お世話になっていた」「お酒に酔っていた」等、状況が似ていたことで、遠い過去の記憶になっていた、Sさんとの出来事を思い出しました。

自分がレイプ被害者だと気づいた時にはとてもショックでした。
心がざわざわして、何とも言いがたい感情が何度も何度も押し寄せてきます。
レイプだと気づかなければ良かった。そう思う時もあります。「酔ってついていった自分が悪いんだ」で終わっていれば、ずっと楽だったと感じる時もあります。
でも、レイプだと分かったことで、「自分に悪いところはないんだ」ということが分かりました。
お世話になっていようが、お酒を飲んでいようが、レイプはしてはいけない。そしてレイプをする側が悪い。
それが分かったことは、良かったです。

レイプにあったことがこれからの人生にどう影響するかは分からないけれど、自分のことを大切に、そして本当に好きになった人、自分を好きになってくれた人を大切に、生きていこうと思います。

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